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愛しては、ならない
第60章 静まらぬ嵐、吹き荒ぶ恋
剛がハンドクリームを手にして、ベッドへ再び上がってくる。
私は彼から顔を背けたまま後退り逃げようとするが、逃げられる筈もなく彼に腕を掴まれて引き寄せられる。
「やあ……っ」
「菊野……っ!」
「離して……離して……もう構わないでっ」
「嫌だ!」
「つ……剛さんっ」
彼にしっかりと抱き締められてしまい、私はその胸の中で滅茶苦茶に暴れた。
だが彼は決して離してくれない。
――逃げなきゃならないのに、逃げられない……
そう……逃げられる訳がないの……だって私は、とっくに貴方に身も心も囚われているんだもの――
喚きながら必死に抵抗するが、疲れて腕が重たくなってしまい、やがてだらりと力なく降ろされる。
彼はいっそう私をきつく抱き締め、肩に鼻先を埋めて呟いた。
「凄く嬉しいです……まだ大事に持っていてくれたんですね……」