この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第60章 静まらぬ嵐、吹き荒ぶ恋
でも――そんな事、言えない……
言ってしまったら私はもう二度と悟志さんの妻に戻れない……
祐樹の母に戻れない……
ただの恋に狂う女になってしまう――
「菊野……好きだ」
「――!」
「好きだ……貴女が好きだ」
「わ……私は」
「好きだ――」
「――」
「もしも……俺のせいで……悟志さんに何かあったとしたら」
彼の低い声が更に深みのある響きを持ち、私の耳に届く。
私は髪を撫でられながら、彼の次の言葉を聞き逃すまいと息を詰めた。
「その時は……俺がその罪を背負います」
「剛さ――」
「罪も、貴女も……この胸に抱いて生きていきます」
「――!」