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愛しては、ならない
第60章 静まらぬ嵐、吹き荒ぶ恋
男性の物とは思えない程、滑らかでしなやかな彼の指がゆっくりと私の頬から唇まで降りて来る。
その感触に、身体中が麻痺してしまったかのように動けなくなり、この二つの目も、彼から離せなくなってしまった。
何かの魔法なのだろうか。
彼の瞳の僅な動き、揺れる髪から薫るシャボン、指の動きひとつで、私を思う通りにしてしまう――
再び、視界が白い天井に変わる。
剛に静かにベッドへと倒されて、今度こそ私は何も抵抗出来ず、ただ彼の姿を、その瞳の動きを目で追った。
剛は今まで私が見た中で一番の優しい笑顔を浮かべ、囁く。
「やっと素直になってくれましたね……」
「……」
何も言えずに見つめる私に、彼は歌うように「……灯りを消します」と言って、部屋を暗くした。