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愛しては、ならない
第61章 愛しては、ならない
闇夜の中、二人の息遣いと悲鳴のようなベッドの軋む音は、外の嵐の烈しさをはるかに凌いでいた。
菊野が甘い溜め息を漏らす度、俺の胸に恋の焔が更に灯されていく。
それは決して小さくなる事はなく、油を注がれたように火花を散らし、燃え広がっていく。
菊野が眉を歪め、苦しそうに――だが、彼女の身体は俺の動き一つ一つに甘く反応し、悦びの声を上げている――
俺の身体が直(じか)にそれを感じている。
彼女の中へと自分を沈み込ませた瞬間、四年間の空白も、やるせない思いも何もかもが埋まった様な気がした。
今まで離れていたのが嘘のようだった。
もう、二度と触れる事もないと思っていたのに。
心も身体も引き離されたあの日から、俺は菊野との思い出を、菊野の面影を自分の心の深い所にしまいこみ、鍵をかけていた。
そして、それらをいつか葬るつもりでいた。
だが、出来なかった――
そして、今こうして貴女に触れて、あの頃よりも深く烈しく恋に堕ちていく――