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愛しては、ならない
第61章 愛しては、ならない
菊野が、その可愛らしい唇を開け、何かを言いかけるが、またつぐんで目を泳がせる。
俺は、彼女の顎を指で掴んで顔を近付けた。
そう、唇と唇が合わさってしまう寸前まで。
彼女の目が大きく見開かれ、頬が朱に染まるのが分かった。
そういう素直な反応は四年前と全く変わらない。俺よりも十四も歳上の女性なのに、俺の仕掛ける小さな攻撃に戸惑ってみせる彼女が堪らなく可愛くていとおしい。
きっと、彼女はこれから何年経とうと、このままなのだろう。
いや……ずっとこのままで変わらないでいて欲しい、と思った。
貴女は、いつまでも貴女のままで――