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愛しては、ならない
第62章 愛しては、ならない②



「好き……」



思わずまた呟いてしまう。

もう二度と彼に会えない、そう思っていた。

なのに、こうして彼の胸に包まれて、恋を囁かれて――熱く愛されて……

嬉しかった。幸せだった。彼が私をまだ思っていてくれた。

こんな私を。四年前、突然彼を突き放した私を。

切ない痛みが喉までせり上がってきて、思わず瞼をぎゅっと瞑る。

瞼を開けたら、この夢はさめてしまうだろうか。いや、夢なんかじゃない。彼は私を抱き締めて、愛して果てた――私の中で……

その事実に喜び舞い上がってしまいそうな自分。

いいのだろうか……?いや、良いわけがない。



私は歯を食い縛り、彼をもう一度ぎゅっと抱き締め、胸の中で言葉を繰り返した。

口に出して言えないから、胸の中で幾度も幾度も、彼への愛を繰り返し――



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