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愛しては、ならない
第62章 愛しては、ならない②
私が悟志と結婚していなかったら、貴方と生きていく事が出来ただろうか?
私がもし貴方と同じ――いや、もう少し貴方と年齢が近かったなら、少しは違う関係になれたのだろうか?
剛に恋してから幾度となく胸のうちで繰り返された無数の「もしも」。
今度こそ、本当の別れを決めた今でも胸の中に現れては消える。
――ああ、私はいつまでも進歩がない。
剛さんと出会ってから年齢は重ねたけれど、大人になりきれていない。
大人になるという事は、諦めを許容すると言う事ではないだろうか。
諦める、もう、本当に諦める、と繰り返し心に決めても、私は恋を捨てられなかった。
手に入らないものをいつまでも欲しがって駄々をこねる子供と同じだわ――