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愛しては、ならない
第62章 愛しては、ならない②
「菊野、菊野……っ」
「あっ……」
私をベッドへ沈めるや否や、剛は猛った獣を一気に突き刺してきた。
圧迫感で苦しさを覚えたのは一瞬だけで、彼が腰を突き進めて来る毎に身体の奥が熱く溢れだした。
揺れる視界には、彼の真っ直ぐな前髪に、涙で潤んだ切れ長の瞳、逞しい彼の胸板、そしてカーテンの隙間から白み始める空――
聴こえるのは、彼の嗚咽混じりの息遣い、ベッドの軋む悲鳴――
感じるのは、痛いほどに私の両腕を掴んでいる彼の掌の熱さ、私の中で脈うつ彼自身――
その全てがいとおしくて、いじらしくて、大切で――今のこの瞬間をまるごと閉じ込める魔法があるのなら、そうしたかった。
――剛さん、剛――
好きよ……愛しているわ……
貴方の全部を……愛してる……