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愛しては、ならない
第62章 愛しては、ならない②
剛の手の震えが伝わってきて、私の涙がまた沢山溢れ出す。
彼とこうして触れあって居られるのもあと少し――夜が明けて、二人の罪を日の光が晒してしまう前に、私はここから、彼の前から去るのだ。
本当はいつまでもこうして見詰めあっていたいけれど――この目に貴方の姿を、その瞳を映したままでいたいけれど――
私は彼の手を握り締めて、自分にも言い聞かせる様に話す。
「逃げるだとか……こそこそ隠れて生きるような生活を、剛さんにさせたくない……
剛さんの人生はこれからなの……色んな人に出会って、経験をして……いつか……心から愛せる人に出会って」
「――だから……俺は……菊野を愛している、て言っただろう‼」
剛は激昂し、私を再びベッドへと沈めた。