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愛しては、ならない
第62章 愛しては、ならない②



「貴女はまたそんな事を――」




彼の端正な顔がくしゃりと崩れ、まるで小さな子供が母親に甘えて泣き出す瞬間の様にも見えた――その時。

まだ夜も明けきらない薄暗い家に、甲高いドアチャイムが響き渡る。

まさか、こんな時間に鳴るはずがない。

そう思い、私は剛の胸に身体を寄せて怯える。

すると彼が私の肩を抱き寄せて小さく呟く。



「悪戯かな……こんな時間に」



だが、チャイムはまた鳴る。

最初は間隔を置いて鳴っていたのが次第に連続して鳴らされて、そのけたたましい音は私に恐怖をおぼえさせた。




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