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愛しては、ならない
第62章 愛しては、ならない②
私はドアを開けようとするが、ロックされていて開かない。
「剛さん……剛さん……っ‼」
何度も彼を呼んで、虚しくドアを叩き続けるが、次第に疲れてしまい、鉛のように重くなった腕を降ろして私は項垂れ、シートに沈み込んだ。
気が付けば外は大分明るくなって、金色の日差しが車内に射し込んでいる。
眩しくて毛布で顔を覆うが、涙を隠す為でもあった。
私は剛に別れを告げるつもりでいた。もうこれきりで会わない――そう決めて、彼に話をした。だから、これで良かったのだ。良かった筈なのに、涙が次から次へと溢れて止まらない。
毛布を頭まで被ってしゃくり上げる私を、悟志がミラー越しに見詰めているのを私は知るよしもなかった。