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愛しては、ならない
第62章 愛しては、ならない②
幾度も幾度も悟志を責める言葉を紡ぎだしていたこの口はいつの間にか廻らなくなり、頭の奥の意識がぼやけてくる。
そう言えば、昼間うたた寝をしてしまってからずっと起きていたのだ。
剛に烈しく抱かれた疲れと強烈な眠気に瞼も身体も重くなってくる。
ずっと毛布を被っていて息苦しさをおぼえ、少し顔を出したその時、悟志の大きな掌が頭をそっと撫でてきた。
――何故、そんな風に優しく触れるの?
私を憎いでしょう?
ずっと私は悟志さんを裏切ってきたのに。
貴方よりも、誰よりも、剛さんを愛して来たのに。
こんな私に……何故……そんなに優しく触れる……の……
「どう……して……」
呟いた瞬間(とき)、私は深い眠りに沈んでいた。