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愛しては、ならない
第63章 once again
そう言えば、悟志に向かって昨夜剛がとんでもないことを言って、悟志もそれを聞いた筈。
あれから大丈夫だったのだろうか?
私は眠る悟志に一歩近付き、その寝顔をじっと見詰めた。
こんな風に彼をゆっくりと見るのは初めてかも知れなかった。
二十も年上の悟志だが、彼を見て五十代だと思う人はあまりいないのではないか。
引き締まった輪郭に、男らしく精悍な眉。笑うと出来る笑窪はチャーミングで子供っぽくも見える。
彼の顎には珍しく無精髭が生えていて、中には白いものも混じっていて驚くが、それも不思議な事ではないのだ、と思い直す。
父親のように優しくて陽気な悟志に今まで甘えっぱなしでいた自分は、本当に大人の女性としての嗜みや覚悟も持ち合わせていないのかも知れない。
――こんな私は悟志さんに相応しくない……
私のほうが、悟志さんに捨てられて当然なんだわ……
そんな思いと共にため息がこぼれたが、突然悟志が「ひえあっ」という奇妙な声を上げ、私はビクリとする。