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愛しては、ならない
第63章 once again
「私……悟志さんに好きだって……言われたこと……無かったよね」
薬指にピッタリと嵌まった可愛いリングを眺めながら私は小さく言う。
悟志と結婚したのは、両親に勧められたからだ。勿論悟志の事は好きだったし信頼していた。
でも、恋では無かった――私は剛に出逢うまで恋という物がどんな物かも知らなかった。
幼い頃に読んだ絵本の中の王子さまとお姫様の恋物語を読んでは夢中になったが、現実の恋にはどうしても当てはまらない様な気がしていた。
でも、本当の恋とは何なのか――と誰かに尋ねられたとしても答えられなかっただろうけど……
悟志はいつも優しくて、私が嫌がったり怖がったりする事は決してしなかったし、父親の様にいつも私を大切に守ってくれた。
結婚するまで私には指一本触れずにいた。
初めての夜、私は堪らなく怖かったのだが、今思えばあの時、悟志は自分を必死に抑えてくれていたのだ。
身体に触れられて私が怯えると、彼はすぐに指を――その唇を離してくれた。
秘所に指を挿れられた時に泣き叫ぶ私に彼は何度も謝りながら顔を歪ませていた。
彼も泣きそうな顔をしていた――