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愛しては、ならない
第63章 once again
「……だって……私は……あの頃の私じゃ……ない……
悟志さんと出逢った頃の高校生で、何も知らなかった私じゃないよ……」
剛に恋して、色んな嘘を付いた。
不幸な生い立ちの彼を救いたいから養子にしたい――私は悟志に何度もそんな風に話した。
最初は本当にそう思っていた。でも、恋を自覚してから、その言葉を口にする度に、胸の奥底には後ろめたさが積もっていった。
私は剛を手元に置きたかったから、彼を側で見詰めていたかったから、引き取ったのだ。
嘘だった。何もかもが、嘘だった。
自分を真っ当な人間に見せる為の、平穏な生活を変わらずに送っていくその為に必要な嘘だった。
自分にも嘘を付いていた。
祐樹にも、悟志にも。
――そんな汚い私は、悟志さんに許される資格なんてない……