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愛しては、ならない
第9章 遊園地での賭け④
鍋から立ち上る湯気の向こうの優しい笑顔を見れずに、私はひたすらうどんを食べていたが、ふと、悟志が口を開いた。
「……仕事が早く終わってね、遊園地へ行ってみたんだ……
そしたら、祐樹と、あの……男の子」
「……」
私は無言で汁を飲み込む。
「剛――くん、だったね」
その言葉が、妙に重い響きを持って胸に迫るが、私は素知らぬ振りをするしかない。
「うん……そうだよ……
お化け屋敷で、競争してたの……
どっちが早く出られるか」
私はうどんを完食し、箸を置き悟志にペコリと頭を下げた。
「御馳走様でした。
ありがとう……悟志さ……」
顔を上げた時、目の前に悟志の胸があった。