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愛しては、ならない
第10章 カーネーション
――そして、翌年。
剛の中学入学に間に合うタイミングで、西本の家に彼を迎え入れ、一緒に生活を始めた。
家裁とのやり取りや、私の両親、友人の真歩など、ごく親(ちか)しい人達にも事前に引き合わせ、彼がなるべくスムーズに西本の家で暮らせる様に準備を進めた。
養子になる事を渋っていた様に見えた剛だったが、遊園地の一件で、決心をしたらしく、私がお騒がせした謝罪に施設を訪れた際に、彼の方から頭を下げて申し出てきたのだ。
「僕は……
ごく当たり前の家庭を知りません。
もしもおかしな事を言ったり、した時には、遠慮なく叱って下さい。
……祐樹君とも、仲良くして行きたいと思っています。
宜しくお願いします」
剛は、ぴしっとした姿勢で私の目を真っ直ぐに見て、綺麗な形のお辞儀をした。