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愛しては、ならない
第10章 カーネーション



剛は、目を見開いて唇を僅かに歪める。


園長は、私が感激して泣いたと思ったのだろう。

ボックスティッシュをササッと目の前に差し出して豪快に笑った。



「ハハハ……
やっぱり泣いちゃいましたか!
いや実はね、他の職員と、西本さんが泣くかどうか賭けてたんですよ~!
……て、すいません」



園長は、茶目っ気たっぷりに言ったが、剛に軽く睨まれて舌を出した。



私はティッシュを受け取り涙を拭い、剛と園長に交互に頭を下げた。



「い、いいんです……

わ、私……
う、嬉し……っ……
うっ……」



嬉しい、という気持ちには嘘は無かった。


彼への気持ちを自覚してから、思い止まった方が良いのか、と葛藤もあるのも事実だが、それ以上に彼を手元に置きたいという気持ちの方が大きいのだ。
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