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愛しては、ならない
第10章 カーネーション

剛の困った様な、呆れた様な瞳を見て、私は唐突に思った。
――そうだ、これからは……
彼が大人になるまでの間は……
ずっと一緒に居られる……
朝も……夜も。
それに、園長の言う通り、やる事が盛り沢山待っているのだ。
泣いている暇は無い。
切なさに涙を流すのは、やる事が終わってからだ。
「――剛さんっ!」
私は、自分に気合いを入れる様に叫ぶが、また声が裏返った。
「はい」
剛は、もう慣れた、とでも言わんばかりに私を苦笑いして見ている。
私は拳を握り締めて、涙を堪えて彼に語りかけた。
「……い、一緒に、暮らしてくれますか?
私……と、祐樹と……
悟志さんと……っ」
「……はい」
剛は、静かに、だがはっきりと返事をする。

