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愛しては、ならない
第10章 カーネーション
私は、剛さんに、特別な感情を抱いている。
好きだとか、恋だとか、憧れとか、そんな簡単な言葉で言える気持ちではなかった。
――彼を、自分の息子の様に慈しみたい。
恋人の様に、焦がれながら見つめていたい――
相反する二つの気持ちが自分の中に存在している。
でも、隠さなければ……
これからずっと、隠して行かなければ。
(そう、だから私……
彼に
"ママ"て呼ばれていたら、段々と母親の気持ちになれるかもって……)
「西本さん?大丈夫ですか?」
園長がまた笑いを噛み殺しながら声を掛けてくる。
(……いつまでも、グルグルと考えた所でこの気持ちが急に萎んでいく訳ではないのだから、もうどうしようもない)
私は、両腕を壁に突いて膝を立て、何とか立ち上がる。