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愛しては、ならない
第10章 カーネーション
「成る程~」
園長が納得した様に言う横で、剛が考え込む様に腕を組み、ボソリと呟く。
「……菊……
菊野、菊野……」
「――っ!」
私は、呼び捨てされたかの様に恥ずかしくなり頬が熱くなってしまう。
「綺麗だと……思います」
涼やかな瞳が真っ直ぐに私を見て、信じられない台詞を彼が言ったので、足にまた力が入らなくなりへたり込んでしまった。
(き、綺麗って……
綺麗って――!?)
口をパクパクさせる私を、可笑しそうに剛は見ながら付け加える。
「綺麗な――名前だと思います」
「……」
私は、更に全身から力が抜けてしまい、うなだれてしまった。
(そ、そうよね……
私ったら、馬鹿みたい……もうっ!)