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愛しては、ならない
第12章 その花は、手折(たお)られて
(――俺は……所詮……彼女に同情されて拾われて……飼われた祐樹の「兄役」に過ぎないんだ……っ……なのに……こんな……)
剛は、自分の中に芽生えた不可解な感情と苛烈とさえ言える欲望を制御出来ないまま、絶頂に向かい右手を動かし続けた。
「菊野っ……」
「あ、あああっ!」
闇を切り裂く様な、菊野の甘く切ない叫びが耳に届いた瞬間、剛の掌の中で熱い精が吹き出した。
寝室の二人も果て、折り重なって抱き合い、息を乱し横たわっている。
剛は、ビクン、ビクンと震えながら精を吐き出し続ける獣を手に握ったまま、這うように廊下を進み、逃げ込む様に自室へ入り、内鍵を掛けた。