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愛しては、ならない
第12章 その花は、手折(たお)られて
(――愛する……?)
剛は、ベッドの上をのたうち廻り、暴発寸前の獣を尚も手でしごきながら菊野の笑顔を思い浮かべた。
――剛さん……
ママ、て呼んで?
途端に、ギュウと胸が締め付けられ、先程を凌ぐ熱さの精が掌の中で爆ぜた。
剛は全身を震わせ、笑った。
震えているのは、快感だけの為ではなかった。
自分が愚かで滑稽で可笑しくて堪らなかった。
そして、菊野の言葉を思い出してまた狂った様に笑う。
「ママ……だって?
……ふっ……ハハハハ……」
頭の中で存分に好きに犯した女を、母親などと呼べるものか。
「――思える訳が、ないだろ……!」
ベッドを両の拳で叩き付けると同時に、手の甲に温かい涙がポツリ、と落ちた。
「泣いてる……?
俺、泣いてるのか……」
剛は、自分の手に落ちる涙に驚き、そして悟った。
いつの間にか、菊野に恋していた事を――