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愛しては、ならない
第12章 その花は、手折(たお)られて



だが、彼女が夫の腕の中で女として美しく開かせられた姿を目の当たりにして、自分の中の剥き出しの欲望が姿を顕してしまった。



――俺は、彼女に口付けたい。


抱き締めて、彼女を覆う全ての物を取り去り、その柔肌を愛してなぶり、自分の欲を彼女の中で解き放ちたい。


そして、あの切ない潤む瞳で見詰められながら、俺の名前を叫ぶのを――



だが、彼女は抱かれながら夫の名前を呼ぶのだろう。


あの甘い、蕩ける声で――



「畜生っ……」



剛は、爆ぜる予感にぞくりと震えながら、手を動かし腰を振った。



どんな風に突き上げたら、彼女は啼くのだろうか――と、淫らな映像を頭の中で反芻しながら。



「くっ……!」



何故、見てしまったのだろう。


彼女の女としての一番美しい姿を。


欲に駆られ、こうして自分自身を慰め淫らに耽る事は出来ても、彼女を愛する事など叶わないのに。



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