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愛しては、ならない
第13章 甘い、地獄の日々
悟志は、ようやく唇を離してくれたが、今度は耳朶を軽く噛まれ、私は悲鳴を上げてしまい、思わず口を掌で抑えた。
(やだ……
今の、二階に絶対聞こえて……)
悟志は、ニヤリと笑うと、今度は優しく耳に囁きながらドアノブに手を掛ける。
「……小さな子供じゃあるまいし……
剛は放って置いても大丈夫だよ……」
「で……でも……
剛さんに声を聞かれたら……っ」
悟志に抱かれている時の矯声を、剛に聞かせたくなくて、私は必死に哀願する。
悟志は、深く溜め息を吐くと、切ない眼差しを向けてきた。
「……菊野……
何故……泣いてる?」
「――!」
ハッとして頬に触れると、温かい涙が伝っていた。