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愛しては、ならない
第13章 甘い、地獄の日々




剛は、階下で悟志と菊野が何か揉めているのを先程から聞いていた。


菊野の怯える様な声色に胸がざわめき心配になるが、昨夜彼女を頭の中で烈しく犯しておいて、そ知らぬ顔で降りていくにはかなりの勇気がいる。

それに、自分はあの二人の息子では無いのだ。

祐樹なら、両親のいさかいを目にしたら迷わず止めに入るだろう。


(だが、俺は……
そんな口出しをする資格があるのだろうか)


剛は、ドアノブを握ったままで耳をひそめ、どうしたら良いのか迷っていたが、悟志の一際険しい声に、やはり気になってそっとドアを開ける。


階段の真下、夫婦の寝室の前で、二人が居るのが見えた。


菊野は悟志に抱えられ、口付けをされている最中だった。


「……っ」


思わず目を逸らすが、菊野が悲痛な叫びを上げ、剛はまた視線を戻す。


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