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愛しては、ならない
第13章 甘い、地獄の日々
私は、剛の腕に抱き留められ、胸に顔を埋めた。
剛の手が背中を抱いている事に胸が高鳴り、同時に想いが溢れてしまわないか恐ろしくなる。
私は、悟志を拒否して剛にすがってしまった。
悟志の顔がとても見れない。
「――菊野」
後ろから呼ぶ声に私がビクリと震えると、剛が私を更に強く抱き寄せ彼から一歩下がる。
「どうしたんですか……悟志さんらしくもない……菊野さんが怯えてますよ」
剛が冷静に彼に言う。
私はその声に聞き惚れながら胸を鳴らしていた。
――違うの……
震えているのは、怖いからってだけじゃなくて……
剛さんに抱き締められているから……
だから……
私は、こんな緊迫した場面に似つかわしくない邪な感情を抱く自分に嫌悪を抱いた。
だが、止めようがなかった。