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愛しては、ならない
第13章 甘い、地獄の日々
「……わ、私、大丈夫……だから……剛さんは、気にしないで、学校……行ってきて?遅刻しちゃう……」
身体中の水分が抜けてしまうのではないかと思う程涙が出ている。
私は努めて明るい声で彼を促すが、剛はまだ私を見詰めてその場に佇んでいた。
「剛さ……いいから……行って」
「――行けません」
「……えっ」
振り返ろうとした時、剛は私の手を引いて、胸の中へ引き寄せると強く抱き締めてきた。
彼の長い指は、私の髪を撫でている。
「――!つ、剛さっ……」
私は、幸福感とときめきと、後ろめたさが交錯して軽くパニックになりそうだった。
彼から離れようとしても、強い力が私を縛り付け、ほどく事が出来ない。
「泣いてる菊野さんを放って学校なんか、行けません」
剛は、低い、甘い声で耳元で囁いた。