この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第13章 甘い、地獄の日々
私は、大事にリボンをほどき、箱を開け中身を見て思わず立ち上がる。
「……こ、これっ!」
思わず剛を見るが、優しい笑顔が眩しかった。
「いつも、お世話になっているお礼です」
剛は、密かに菊野へのカードをポケットの中へと隠す。
メッセージカードを面と向かって渡すのは流石に照れるし、あの言葉は自分の本心ではない。
悟志は、あの文を見て何と思っただろうか。
表面上は当たり障りない言葉かも知れないが、裏にある邪(よこしま)を、彼は見抜いているだろうか。
色とりどりのビーズが埋め込まれた、メルヘンチックな、まるで宝石箱の様なデザインのハンドクリームの容器を目を輝かせながら開けて、その薫りを嗅ぎ嬉しそうに笑う彼女を見て、剛は思う。
――俺は、菊野さんが好きだ……
その好きは、男が女に求める感情であって、決して単なる親愛ではない。
俺は、菊野さんを抱き締めたい。
そして、身体で繋がりたい。
そういう"好き"なんだ……――