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愛しては、ならない
第13章 甘い、地獄の日々
私は困って、剛の顔を覗き込むが、彼にそっぽを向かれてしまう。
余程困った顔を私がしていたのか、彼は深い、諦め気味な溜め息を吐き、こちらに向き直り、呟く。
「これからの事だとか……関係ありません……僕が今、大切に思うのは菊野さんです」
「――――!」
真っ直ぐに見詰める彼と目が合ってしまい、そのまま逸らせずに私は固まる。
今まで生きてきて、ここまでドキドキした事があっただろうか。
――僕が今大切に思うのは菊野さんです。
その言葉の意味を理解するのに暫くかかってしまった。
大切に――?
でも、大切に思うという言葉には色んな意味が含まれるだろう。
親に対してだったり、友達にだったり……
舞い上がってしまいそうになるが、私は自制するようにこう言った。
「ありがとうね!……こんな素敵なプレゼント貰った上に、そんな嬉しい言葉まで……やっぱり、剛さんに何かご褒美あげなくちゃ!」