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愛しては、ならない
第14章 檻の中の愛
「ありがとう……
後片付けは私がやるわよ」



「ダメです」



俺がキッパリ言うと、彼女は不満そうに唇を尖らせる。



(そうだ、うやむやにするなんて、ダメだ。
俺はまだ子供かも知れないが、彼女への想いは大人の男とさして変わらない筈だ。

俺のやった事は常識を外れているだろうが、そんなの最初から分かっている……
でも、止められなかった……

常識がどうとかでなく、重要なのは、彼女が俺をどう思っているか、だ……)


俺は考えを巡らせながら菊野にキッパリと言う。


「今日ぐらいはゆっくりして下さい……
大体、熱がある人が無理したらいけません」



「熱なら、下がったから大丈夫よ!
剛さんに今日は沢山手伝って貰ったし、これ以上は悪いわ」



「何も悪くありませんよ」


「だって……」



言い合っている間に、洗い物は片付いてしまった。


俺が両手を上げて肩を竦めると、菊野は困った様に笑った。



「今日はありがとう……
シチューもムニエルも凄く美味しかった……」



「それは良かったです」



俺は手を拭きながら笑い返すが、彼女は、また頬を染め目を逸らした。

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