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愛しては、ならない
第14章 檻の中の愛
俺と彼女の間は微妙な空気だったが、祐樹が居る時はそれほどギクシャクはしなかったように感じた。
祐樹が欠伸しながら
「僕、もう寝る~」
と言い二階へ上がっていってしまうと、途端に彼女は気まずそうに目線をさ迷わせた。
俺は内心、
(悟志が居ない今夜、もっと彼女に近付きたい)
という邪な思いで一杯だったが、表情には出さず、取り敢えず片付けをする事にした。
食器を洗っていると、菊野が隣にやって来て、腕捲りをする。
まさか彼女の方から近付いてくるとは思わなかったので、密かにドキリとしたが、平静を装いながら食器を滑らせて割らない様に注意深く洗う。
単に、彼女は気まずいままで居るのが耐えられないだけなのかも知れない。
(いや、ひょっとすると――
当たり障りなく、今までと同じ様に接しておいて、先程の告白や、キスをうやむやに無かったことにされてしまうのではないか――?)
と、俺は一つの可能性を考える。