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愛しては、ならない
第3章 ガール・ミーツ・ボーイ
「パパも当分帰らないし、悟志さんも居ないんだから、そっちのお家に三人で暫く住みましょうよ!」
「わーい!ベッソウだベッソウだ!」
「まあ、別荘みたいなものかしら?
祐樹、良くそんな言葉を知ってたわねえ?
別荘にはピアノも置いてあるわよ?」
母と祐樹は手を握り合ってはしゃいでいる。
「ママ……でも」
「菊野、あなたはまず自分の身体と心を元気にしないとね?
ちょっとの間環境を変えてみるのも良いと思うのよ。
祐ちゃん、花野ばーばと毎日お散歩行けるね~?」
「行けるね~」
母と祐樹は結託してしまい、そして私も反対する理由も無いし、という訳で、暫く郊外の家に三人で暮らした。
動物園に連れていってあげられない私に代わり、電車に乗って母が祐樹を連れ出してくれたり、近所の公園には池があって色んな水鳥が居て祐樹も喜んだ。
以前、自宅でピアノを教えていた母が、祐樹に遊び感覚で教えてくれたのだが、それがきっかけとなり本格的に弾くようになるのだ。