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愛しては、ならない
第15章 檻の中の愛②

俺達は店から出て公園を散歩し、餌を目当てに集まってくる鳩と戯れ他愛ないお喋りを過ごす内に、夕暮れの時間を知らせる鐘が鳴った。
寒そうに肩を震わせる清崎に、上着を俺は羽織らせる。
「ありがとう……」
はにかむ笑顔の中に小さな翳りが見えた気がするが、俺は時計を見て言った。
「さて、そろそろ帰るか……
送るよ」
「あ、あのね……」
清崎の小さな指が、俺の上着の裾を掴み微かに震えていた。
「――どうした?」
俯く彼女の綺麗な形の旋毛(つむじ)を眺めていたが、彼女は顔を上げ、小さく言った。
「わ、私……
まだ帰りたくない……」

