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愛しては、ならない
第16章 貴方との夜
剛は、椅子に座る私の前に屈み、澄んだ色の瞳で何秒間か見詰めたが、掌を離さないまま言った。
「悟志さんは……優しいですか」
「――!?」
「優しく、貴女を抱くんですか」
「……っ」
私は、訳が分からずにただ剛を見上げる。
剛は深く溜め息を吐くと、絞り出す様に言った。
「俺が早く大人になりたい訳が、分かりますか……」
「……?」
「貴女を奪いたいからです……」
剛は、口を塞いでいた掌を離すと、素早く唇を重ねてきた。
刹那、時間(とき)が止まった。