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愛しては、ならない
第18章 私も、愛しているのに
触れた時、彼の手の緊張が少し解れた様に感じた。
私は恐る恐る、その手を握り締めてみる。
すると、僅かに力が込められた様に感じた。
表情も、穏やかになっていき、私は胸を撫で下ろすが、目が慣れてきて、部屋の中が荒れているのに気付く。
いつもきちんと整頓されている本棚は、全て中身がぶちまけられ、床に散乱していた。
そして、良く見れば彼の額に何故か傷が出来ている。
私は、困惑しながら部屋の中を見渡すが、机の上に置いてある或る物を見付け、胸が潰れる様な感覚に襲われた。
ビニールに入った、小さなチョコレート。
私が
"すき" と描いた、チョコレートのプレートが、粉々に砕かれていた。