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愛しては、ならない
第18章 私も、愛しているのに



彼は、苦しげに眉を寄せて、寝返りを打つ。

夢の中で、何を彼は見ているのだろう。


形の良い唇が歪み、彼は、眠りながら胸をかきむしり、呻いた。


「……れが……く……れば……んだ」



耐えがたい痛みにのたうち回るかの様に、彼は、何度も寝返りを打ち、シーツを強く掴む。


その指は力がこもり白くなっていた。


私は、ベッドの側に屈み、彼を見詰める。


またその唇から言葉が漏れた。


「お……れが……くなれば……いいんだ……」



私は、殴られた様な衝撃を受け、涙が一気に込み上げる。



――オレガイナクナレバイインダ――




彼は、そう思っているのだ。



私は思わず、強くシーツを掴む彼の手に触れた。

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