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愛しては、ならない
第19章 恋の業火
二、三回叩いて待ってみたが返事がなく、私は恐る恐る声をかけた。
「剛さん……
おはよう……
起きて……る?」
すると、ドアが静かに開き、パジャマ姿の剛が目の前に現れた。
少し乱れた髪と、襟元から覗く胸元と喉仏が目に入り、ドキリとした瞬間(とき)、彼が腕を掴み私を部屋の中へと引き摺り込んだ。
「きゃっ……」
彼は無言で私の腕を引っ張り、乱暴にベッドへ倒した。
私の身体は弾み、転げそうになるが、寸前で彼が抱き留め、私に跨がり鋭く見詰めてくる。
「……寝起きの男の部屋に来るのは危ないって、知らないんですか」
彼が、低い声で呻く様に言う。
私は、また甘く危険な予感に身体が熱くなるのを感じた。
(どうしよう……
このままじゃ……私)
はねのけなければならない、と思うのに、彼のしなやかな指が唇を撫でるのを、私はされるがままになっていた。