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愛しては、ならない
第19章 恋の業火
「昨夜の事を忘れたんですか……?
俺の身体は、貴女が欲しくて張り詰めたままです……」
「……っ」
逃げなくては、と思うのだが、それよりも彼の苦しげな潤んだ瞳に魅入られてしまい動けない。
剛は唇に触れていた指を、私の首筋に滑らせた。
擽ったさに身を縮めたが、その指の熱さにふと違和感を覚え、私は腕を伸ばし彼の頬に触れ、額にも触れてみた。
剛はピクリと身体を震わせ囁くが、呼吸が荒い。
「……菊野さんから触れて来るなんて……
思いませんでした……
大人しく、俺に抱かれてくれるんですか……?」
「――やだっ!
凄い熱……!」
剛の胸を軽く突き飛ばすと、彼は呆気なく私を解放した。
恐らく熱で身体が言うことを利かないのだ。
私はベッドから降りるとドアまで小走りして彼から逃げた。
「……菊野、さ」
剛は起き上がるが、こめかみを押さえまたベッドへ倒れた。
私はドアノブを持ち彼を振り返る。
「取り敢えず氷枕と、飲むものを持ってくるわね……
今日は無茶したらダメよ?」