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愛しては、ならない
第20章 恋の業火②


「剛さん……大丈夫……?どこか痛い?」



私は盆を置き、彼の側へと行き声を掛けた。



「……む……胸が」


彼は、胸元を掻きむしりながら顔を歪める。


「え……胸が痛いの?」


心配になり覗き込んだ時、彼の瞳が鋭く光り、腕を掴まれてベッドへと引き摺り込まれてしまった。



私は彼に組み敷かれ見下ろされる。



呆然とする私に、剛はニヤリと笑い、低く囁いた。



「……菊野さんは、隙だらけですね……」



「剛さん……具合は?」



腕を掴むその力は、病人とは思えない程強く、先程まで虚ろだったその瞳は力強い輝きを放ち私を捉え、唇は皮肉に笑っていた。



「……ひ、酷い……っ!
騙すなんて……」



私は、本気で怒りが込み上げ、彼を叱りつける。


「本当に心配したのよっ?そういう嘘は付いたらいけませ――……んっ」


彼の前髪が揺れたのを見た瞬間、唇を塞がれていた。


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