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愛しては、ならない
第20章 恋の業火②
彼女の後ろ姿が小さくなり、私は家の中へ入るが、途端にガクリと身体の力が抜けた。
なんだか、猛烈に疲れてしまった。
清崎の笑顔の底に無言の圧の様な物を感じたのは気のせいだろうか。
「嫁姑の確執って……こんな雰囲気なのかしら……私には無理だわ……」
もう一度、溜め息を吐くが、剛の様子が気になる私は、階段を上がる。
眠っていてくれますように、と祈りながら、私はそっと彼の部屋のドアを開けた。
彼は、安らかな表情で寝息を立てていた。
(よかった……
今のうちに、食器を片付けちゃおう……)
彼のあどけない寝顔に見惚れながら盆を持ったのが良くなかった。
コップを落としてしまい、派手な音を立ててしまった。
「うわっ……」
硝子のコップは幸い割れなかったが、剛が目を覚ましてしまった。
「ご、ごめんなさい……
起こして……」
コップを拾い盆に乗せて早々に部屋を出ていこうとしたら、彼が苦しげに呻き始め、私は足を止めた。