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愛しては、ならない
第20章 恋の業火②




彼の腕に、胸に包まれながら私は改めて、剛が出逢った頃の少年でなく、逞しい青年に成長した事を思い知る。


細身に見えるその身体は程好く筋肉質で、胸板は硬く、今は優しく私を包むその腕は、彼がその気になれば私を思い通りに出来る事も――


長い指が髪を撫で、切ない声が耳元を擽る。



「……もう、俺は要らないですか」



「な……何を言ってるの?誰がそんな」



「俺はもう、施設で逢った頃の少年ではありません」


「――」



返事が出来ない私の頭を撫で、彼は続けた。



「貴女の心も身体も欲しがっている餓えた獣ですよ……」



その言葉にドキリとして、頬が熱くなってしまう私は最低な義母だろうか。


舞い上がって我を忘れたらいけない、と懸命に自分に言い聞かせ、彼をはね除けようと拳に力を込めるが、彼の眼差しと囁きで、いとも簡単にその決心は崩れそうになる。


「……困らせているのは分かっています……
けれど……止められません」


「……っ」



頭を撫でていた彼の指が、頬に触れる。


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