この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第21章 君の罪は、僕の罪
「悟志さん――!
悟志さんっ!」
私の絶叫にただならぬ物を察したのか、剛がドアを開け入ってきたが、目の前の光景に言葉を失い立ち尽くした。
私は、悟志を抱き起こし、剛に言う。
「救急車……
救急車を――!」
剛は、青ざめながら頷くとリビングに走っていく。
「悟志さん……悟志さん…しっかりして……っ」
流れる涙が血で濡れた彼の頬に落ちた時、その瞼が僅かに開き、この場面に似つかわしくない、そして今まで見た中で最も優しい笑みを私に見せた。
だが、それは刹那の出来事だった。
再び瞼が閉じ、悟志の頬はみるみる間に生気を失って行った。
「悟志さん……っ」
呼び掛けても彼の唇は動かない。
握りしめたその逞しい手には、力の欠片も感じられない。
私は、彼の胸に顔を埋め叫ぶ。
「やだ……
嫌……いやあっ……
こんなの嫌――っ!」
遠くから聞こえる、途切れ途切れに響くサイレンが、やがて途切れた――