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愛しては、ならない
第21章 君の罪は、僕の罪
苦しい嗚咽で私はまともに喋る事も、相槌も打てず、涙を流す。
悟志が私の背中に唇を押し当て、呟いた。
「菊野……
僕の前から……
……消えないで……く……」
消え入る様な声が途切れ、背中がズシリと重くなり、私は顔が枕に埋もれてしまう。
手を突いて何とか身体を起こすと、悟志がその弾みでゴロリ、とベッドから転げ落ちた。
「さ……悟志さん……?」
驚き、ベッドから降りるが、彼の蒼白な顔色と、目の焦点が合っていないのを見て、私は息を呑んだ。
「……くっ……む……胸がっ……」
「さ……悟志さんっ!」
唇まで色を失い、いつも生き生きと輝くその目は左右違う動きをしていた。
身体が大きく痙攣し、悟志は床を転げ回り断末魔の叫びを上げ喀血(かっけつ)し、絨毯や壁が一瞬で赤に染まる。
「キャアアアアア――!」
私は叫びながら、血溜まりの中で横たわる悟志の手を取った。