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愛しては、ならない
第23章 滅ぼせない恋情②
菊野は、小さな悲鳴の様な叫びを上げ、俺の手から、腕から逃れようともがいたが、俺は彼女を離さない。
「――絶対に離さない」
俺は、彼女の目を見詰め、低く囁いた。
その唇が、真実(ほんとう)を語るまで、決して離さない――
――気のせいなのだろうか。
彼女を抱き締める時、口付ける時、その肌に触れた時に、俺が感じた彼女の瞳から放たれる、熱くて甘い熱は。
恋を告げる時に染まる頬は、まるで、ときめいて身体を、心を熱くしているかにも見えてしまう。
だが、そんな訳は無い。
貴女が俺に振り向くなどあり得ない。
そう思うのに、貴女のそんな仕草を見る度に、まさか、ひょっとして――?
という思いが沸き上がる。
そう、貴女は、嘘が付けないひとの筈だ。
貴女が今、そんな風に肌を鮮やかに染め、涙を溢しそうにしているのは――
まさか――