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愛しては、ならない
第23章 滅ぼせない恋情②




菊野は、更に鮮やかに頬や首筋を染め、俺から視線を逸らす様に横を向くが、顎を持ちこちらを向かせた。


「俺が欲しくて……
そう言いましたね?
初めて逢った日にも、貴女はそう言った……」


「そ……そうだけど……」

菊野は、しどろもどろになり、何か下手な言い訳を必死に考えているのがその表情から簡単に読み取れる。


そう、貴女は、嘘を付けないひとだ。


何も言わなくても、その瞳の色が、溢れる涙が、染まる頬や震える唇が、語る。

……貴女の心を。



俺は彼女の頬を両の掌で挟み、もう一度訊く。



「今でも……
俺を、欲しいと、言ってくれますか」


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