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愛しては、ならない
第24章 滅ぼせない恋情③
――俺を欲しいと言ってくれますか――
剛の低い囁きが、甘く鼓膜に張り付き、幾度もこだました。
彼の澄んだ瞳と、時おり微かに揺れる真っ直ぐな前髪を見ていると、今、ここが学校の保健室で、そして私達は入学式の為に来ているのだという現実を忘れてしまいそうになる。
(ダメ――!
もう、彼の腕から抜け出して、戻らなきゃ……)
私は、現実の事を考え、剛の瞳に引き摺られそうになるのをギリギリの処で止まって居たが、彼は目を逸らす事も、腕の中から抜け出すのも許してくれない。
――絶対に離さない――
彼は言った。
甘美な魔術にかけられたかの様に、私は身体中力が入らない。
指先さえ、自分の意思でまともに動かす事が出来ない。