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愛しては、ならない
第24章 滅ぼせない恋情③
剛は長い指で私のうなじの後れ毛を弄び、低い声で囁く。
「俺は……
貴女に好きだと言うしか出来ません……
でも……貴女は、何も言わない……
嫌いなら嫌いだと、はっきり拒絶して下さい……
……でないと……
俺は……」
私は、剛の唇が、指が、僅かに震えているのに気付き、彼への愛しさが強烈に込み上げてしまう。
――貴方も、私の様に、胸を痛む程に鳴らしているの?
ときめいて、泣いてしまいそうに苦しくなったりするの?
……私を、想って……
私を――
出来る事なら、彼をこの胸の中で包み、甘えさせてあげたい。
本当の母親の様に、そして、彼の恋人の様に。
今、手を伸ばせば、恋が叶う――
貴方と、ひとつになれるのに――
苦しげに顔を歪める彼を見るのが辛く、思わず目を瞑ると、瞼の裏に悟志の優しい笑顔が浮かんで来た。
――悟志さん……
ごめん……なさい……
私は……
剛さんが好き……
貴方がこんな事になっているのに……
彼に恋するのを止められない……