この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第25章 離したくない
今、身を乗り出して眉を寄せ、唇を突きだして睨み付けてくる菊野を、俺はいとおしい気持ちを募らせて見詰めていた。
可愛くて、今すぐにでもその唇を奪ってしまいたい。
そんな事を考えているとは知らない彼女は、更に顔を近付けて拗ねるような、甘えるような声で呟く。
「なによう~‼一生懸命睨んでいるのに、全然怖がってくれない……悔しい」
「ああ、やっぱり睨んでいるつもりでした?」
「……んもうっ‼
少しは怖がってよ‼」
子供が駄々をこねる様に、彼女は身体を揺する。
俺はやはり笑うのを我慢できずに吹き出してしまった。
「ああーー‼
笑った‼しかも爆笑するなんて酷いーー」
菊野は指を指して叫びむきになる。