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愛しては、ならない
第25章 離したくない
床に手をついて肩で息をする彼女のひざの裏に腕を差し込み、再び抱き上げる。

彼女が何かを言おうとする前にその唇を塞ぎ、ベッドへと雪崩れ込む。

大きくスプリングが軋み、彼女は唇を犯されながら小さく呻いた。



「……んん……っ」


俺の唇の血が苦いのだろうか。眉を寄せて切ない目を向けながら俺に
「止めて」と訴えて居るのかもしれない。


……この苦さは、俺のどうしようもない恋の苦しさなんだ……

味わうといい……


俺の熱くて激しい思いを、その唇で……舌で……




彼女の指が強く俺の上着を掴み、引っ張って居たが、フッとその力が緩んだ。



「抵抗は、もう終わりですか?」


唇を離し、下にいる彼女にわざと軽い口調で言う。



彼女は首を振り、手を胸の前で組んで祈るような仕草をする。



「……せ、制服がシワになっちゃう……」



「……えっ?」


俺は思わぬ言葉に呆気に取られるが、菊野は真剣だった。



ーー今はそんな心配をする場合じゃないだろうに……



無性に可笑しくなり吹き出す俺に、菊野は目を剥いた。


「だって……せ、折角似合って素敵なのに!」
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